東京都で公立中学校、高校教諭、指導主事を経て文部省教科調査官、視学官、大妻女子大学教授を歴任。平成15年度より現職。主に道徳教育に関する著書多数。

金井 肇 氏(日本教文研所長)

教育シンポジウム2004へ参加しました
テーマ:「学力」子供たちにつけたい力〜日本の未来を担う子どもを育成するために〜
 11月21日(日)日本教育文化研究所主催の教育シンポジウム2004が富山市の富山国際会議場で開催され、香川教文研からは13名が参加しました。当日は県外からの参加者約300名に加え、地元富山の先生方や学生・保護者等計500名が参加し、金井肇氏(日本教文研所長)のコーディネートによる3人のパネリストの意見交換に参加者も熱心に聞き入っていました。会場からもパネリストに対する意見や質問が届けられ、熱気に包まれた半日でした。
開会式で挨拶する三好理事長
会場となった富山国際会議場メインホール

コーディネーター

パネリスト

松本 謙一 氏 富山大学助教授

元公立小・中学校教諭。小学校1年生から中学校3年生まで幅広い現場経験を持つ。富山市教委・県教委指導主事を経て平成12年度より現職。
  1. 学力を取り巻く様々な混乱
    • 専門家の養成? 市民の育成?
    • 到達目標を設定する教科,方向目標としての生きる力
    • 「生きる力」とその一部としての「確かな学力」
    • 「文化の伝承」重視の現状「人格の形成」は?
  2. 学校の存在意義を問い直す
    • 二面性として捉えることからの脱却:「バランス」から「統合」へ
    • 子供にとって価値ある学校・授業とは
      1. 楽しい仲間と信頼できる教師の存在
      2. 「くらしを基盤にした本気で行う問題解決」が満たされる楽しい場
      3. 学力は付けるもの?,いつのまにか付いてくるのでは・・・。
  3. 安心できる学びを保障するために(1)授業
    • 子供に自覚させたい問題解決の価値
    • 教師だけでなく,子供がもつ問題解決の見通し
    • どこまで:計画型単元・構想型単元
    • どのように:見合い型(企業型)・恋愛型(人生型)
  4. 安心できる学びを保障するために(2)くらし
    • 未完成な人間が未完成な子供に教えるということ
    • どんな子供に育てたいのか:学校・家庭・社会が同じ価値観に
松本氏の提言

辻村 哲夫 氏 東京国立近代美術館館長

辻村氏の提言
このテーマを考えることは,学習指導要領の目標・内容を考案することでもある。
そのなかで,我が国の子どもたちの現状をふまえると,小・中学校を通じて,特に次のことを重視したい。
  1. 基礎的な言語能力を身につけること。
    • 一般の新聞を読み,理解し,そこに使われている文字を用いて自分の意志を伝えることができる程度の言語能力を身につけること。
  2. 自分を高めようとする意欲を持つこと。
    • 何事にも自分自身の意見を持つとともに,自分なりに向上していこうとする意欲を持つこと。
    • そのためにも,他人の意見に耳を傾ける態度を身につけること。
  3. 豊かな感性を持つこと。
    • 自分の国や郷土の文化や歴史に関心を持ち,また,芸術や自然に親しむ心を持つこと。

小池 晃 氏 小池国際特許事務所所長・弁理士

昭和47年事務所開設。平成8年黄綬褒章受章。平成14年知的財産戦略会議委員(小泉内閣)平成16年日本弁理士会中央知的財産研究所所長。
小池氏の提言
  1. 知の時代と言われて久しい
  2. 日本は2001年以降,人知の成果物である知的財産の創出を奨励し,またこの知的財産を広く,強く,早い保護を図ることにより,しっかりとした権利保護を確定し,この知的財産権を経済活動等を通じて活用するという知的創造サイクル(創造→保護→活用)の実現により,国家の繁栄と社会の発展を実現しようとしている。
  3. 上記知的創造サイクルが勢い好く機能するためには,この施設を支える専門人材の育成が喫緊の課題である。
  4. IT化により,ボーダレス社会は全ての面で一層促進され,規制緩和が図られた自由競争社会の中で,知的財産に高い関心と理解を示し,科学技術等の活用に目を向ける人材の育成は21世紀社会を生き抜くために重要である。

香川からの参加者

短い時間でテーマに沿った「学力」をいかに具体的にかつ有効に伝えていくかが課題となるのでしょうが、パネラーの方が社会的・教育的視点から多面的にお話をしてくださったので、参考になりました。小池氏の話はピンと来なかったのですが、辻村氏・松本氏のお話ではなるほどと思う面が多々ありました。

帰りの列車で金井先生と新大阪までご一緒できたし、レセプションでは閉会の間際でしたが、辻村先生と私たち仲善のメンバーが直接お話をすることができて喜んでおります。
参加者の声 中浦健二先生(筆岡小学校)
参加者の声 佐々木広子先生(庵治第二小学校)
「学力」に関して自分が実践していることの裏付けが欲しくて参加した。

3人のパネリストの方の一番心に残った表現を紹介する。
松本氏 : 学力とは、学習者が学ぶことの必要性を感じたときこそ最大の効果を上げることができる。
辻村氏 : 「見える学力」と「見えない学力」のどちらも重要である。
小池氏 : 自分で活用できてこそ真の学力と言える。

立場が違う3氏の意見であるが、どれも納得のできる内容であった。
「学力」を多方面から分析でき有意義な内容であった。
 このテーマに惹かれて、教育シンポジウム2004に参加させて頂きました。現在、中学校で家庭科教育と障害児教育に携わっていますが、限られた授業時間で子どもたちに何をどう身につけさせたらよいのか、日頃実践しつつ悩んでいます。
 「学力とは、将来に向かって学ぼうとする力である」この言葉を聞いてハッとしました。私が大事にしていたことは間違っていなかったのです。これからもより一層子どもたちに目を向けて、保護者や地域と連絡をとり、自信を持って、責任を持って、教育活動にはげみたいと思います。基礎的言語能力を養い、感性を培い、意欲的な子供を育てるよう、私たちに元気を与えて下さった富山での大会でした。もう少しお話しを伺いたかったような。パネリストの先生方も、まだまだおっしゃりたいことがあったような、双方時間の制約があったことが心残りです。でも、またどこかでこの続きをお聞きできるかも・・・ぜひお聞きしたいです。
 お世話になった皆様、本当にありがとうございます。
参加者の声 坂東正美先生(香南中学校)
元文部省初等中等教育局長。局長時代に現行の学習指導要領立案を担当。昭和50年4月より53年12月まで香川県教委義務教育課課長、総務課課長として在任。平成11年より現職。